3D CAD導入支援サービスを利用した効果的な運用とは?

前編ではSCSK株式会社デジタルデザイン部シニアエンジニアの長谷川光弘氏に3D CAD導入支援サービスの概要をお聞きしました。後編では長谷川氏が実際に携わった導入支援事例を紹介します。生産用機械メーカーであるその会社では、使用していた2D CADのOS対応やサポートが終了するのに伴い、3D CADの導入が急務となっていました。しかし、自社内の者のみで導入を試みて失敗。その後、導入支援サービスを受けてシステムを構築。今では効果的に業務への活用が進み、さらなる活用を検討している段階となっています。どのように解決していったのか。長谷川氏に詳しく聞いていきます。

操作ができるだけでは運用はできない。導入支援による問題点の洗い出し。

長谷川氏によると、この会社では導入に成功したAutodesk社Inventorの前に、将来を見越して早いうちから他社製の3D CADをテストで購入し導入を試みました。操作のトレーニングを受け、いざ運用システム作りにとりかかりますが、3D CADでの設計手法を確立させることや、新たなデータ管理の仕組みを考えることが必要となりました。ところが、社内には設計手法やデータ管理方法を構築する知識のある者がいません。導入計画はここで止まってしまいます。操作ができるだけでは3D CADは業務として使えなかったのです。

そしていよいよ、使用している2D CADのサポート終了が近づき3D化が急務となります。ここから3D CAD導入支援が始まります。社内には導入プロジェクトチームも作られました。人員は部署が違うものの実際に3D CADを使用する設計関係の者を中心に8名。導入する3D CADは、板金曲げ部品が多いなどの設計内容の特性や操作性、価格などを考慮してInventorが選ばれます。

ソフトのインストールや基礎的なトレーニングが行われたのち、要因分析や解決策検討が行われました。プロジェクトリーダーの指揮とエンジニアの支援の元、設計手法やデータ管理方法など大きなところから小さい点まで各種検討、解決、決定されていきます。導入支援サービスを受ける前は操作するだけで精一杯だった3D CADが、実際の業務の流れとして組みこまれ、運用できる形にチューニングされていったのです。ところが、プロジェクトが進むにつれて、さまざまな問題が生じてきました。

他部署からの反対、工数捻出。会社全体での意識改革。

問題の1つに他部署からの反対がありました。3D CAD導入では新たな設計手法を構築するだけでなく、検図や承認、部品表管理などさまざまな点において新たなシステムが必要になります。これらは従来使用していた運用方法を流用する形では対応しきれない場合も多く、設計部門以外にも仕組みの変更を発生させることになります。そのため、設計部門以外からは、設計部の都合だけで仕組みを変えないで欲しいなど、非協力的な対応が返ってきました。これに対し、プロジェクトチームでは導入支援のエンジニアと一体となり、上司も同席しての説明会を何度も行います。部分的な効率の変化にとらわれず、会社全体での効果を考えての導入を検討する必要があると、具体的に説明していき徐々に意識を変えていったのです。

次に問題となったのが、導入プロジェクトに対する工数の捻出です。導入に伴うさまざまなタスクの実行にはそれ相応の時間が必要です。しかし、プロジェクトに係る人員は専任とすることは難しく、どうしても通常業務との並行処理となってしまいます。この点においても、プロジェクトチーム、導入支援のエンジニアが一体となり、上司との相談のうえ、業務負荷の分散やスケジュールの再考で解決していったのです。

3D CAD導入の成功には、仕組みを変えることに柔軟に対応し、社内全体での効果を考え、プロジェクトチームがそれをけん引すること。それが大変重要なポイントとなっていました。

まとめ

長谷川氏の話によると、3D CAD導入が成功したこの会社では、導入後設計そのもののミスが低減するとともに、部品表作成の高速化やリスト漏れなどのミスの低減などが実現されたそうです。導入支援がなければここまでのシステムを構築することはできず、今になってもまともに運用することすらできていなかったともいわれるのだとか。3D CADの導入には費用も時間も人員も必要です。導入に手間取れば、そのコストは膨大なものとなり、最悪全く役に立たない場合もあります。3D CAD導入支援サービスを効果的に利用することで、そのリスクは最小限に抑えられ、結果としてコストの削減につながることが今回の長谷川氏の話から伝わってきました。