「未来のデザインスタジオはすぐそこに Autodesk Automotive Launch Tour 2016」セミナーレポート

2016年6月3日(金)。東京・六本木、泉ガーデンセミナールームにてオートデスク株式会社主催による「Autodesk Automotive Launch Tour 2016」が開催されました。本セミナーでは、自動車メーカー、デザインサプライヤーなどに向け、Autodesk Alias SpeedForm、Autodesk Alias、Autodesk VREDをはじめとしたオートデスク株式会社の最新ソフトウェア、新機能などを紹介。また、特別プログラムとして、株式会社本田技術研究所二輪R&Dセンターデザイン開発室研究員伊東理基氏によるトークショーも開催されました。



自動車デザインスタジオの未来。100年に1度の変革期

セミナーの冒頭では、「未来の⾃動⾞デザインスタジオ」と題して、オートデスク株式会社のジョン・ウォンジン氏の講演が行われました。ウォンジン氏は、今自動車業界は100年に1度の変革期を迎えているといいます。かつて日本の自動車業界では、生産性の向上を目指し、より良い車をより安い値段で作ること。技術革新を通じてほかの国との差別化を図っていました。しかし、ほかの国の技術、デザイン性は日々上がり、この優位性はここ10年ほどで崩れつつあります。さらに、破壊的なイノベーションとして、ガソリンエンジンから電動モーターへの変革も進んでいます。自動車の電動化は自動車のデジタル化を推し進めます。自動車にさまざまなデジタルデバイスが搭載され、ソフトウェアが更新される。自動車がネットワークにつながり、まるでスマートフォンや家電のように、車と車、車と人、車とほかのデジタルデバイスとつながっていきます。
このような大きな変革に対し、オートデスク株式会社では「最新テクノロジーを駆使して、人、プロセス、そしてデータをつなぐことによって、今のデザインスタジオの課題だけでなく未来の課題も解決できるようにしたい。将来のデザインスタジオをクリエイティブかつコラボレーション可能にしていく」とウォンジン氏はいいます。例えば、クリエイティビティという点においては、デザイナーの想像力を引き出す環境作りとして、Autodesk Alias SpeedFormが昨年にリリースされています。これにより2D のスケッチ段階から最終的な3Dのコンセプトモデリングまでを迅速に行えるようになりました。Autodesk Alias、Autodesk VREDにより、サーフェスモデルの作成、レンダリングによるビジュアライゼーションはもはや当たり前に行われています。ウォンジン氏によれば「今後さらに機能が強化されれば、ライティングや空力の確認など、いままで設計部署にまかせていたものがデザイン段階から検討できるようになっていく。また、デジタルデザインデバイスと各種機器、人と人、データとデータ、そしてプロセス間を繋ぐことでコラボレーションの強化を図り、フィジカルモデルとの連携やデザインアセット管理まで、デザインワークフロー全般をサポートできるようにしていきたい」とのこと。オートデスク株式会社は「未来の⾃動⾞デザインスタジオ」をユーザーとともに作り上げていく。そのようなビジョンが示されたウォンジン氏の講演でした。


オートデスク株式会社のジョン・ウォンジン氏


クリエイティビティ、ビジュアライゼーション、コラボレーションの強化。最新ソフトウェア、ソリューション紹介

ウォンジン氏の講演に続き、各ソフトウェアの概要や最新版の追加機能の紹介、協賛各社によるソリューションの紹介が実際のソフトウェアの操作画面などを見ながら行われています。

オートデスク株式会社の4製品についてはパフォーマンスの向上や細かい修正のほか、コラボレーション機能の強化、新機能追加や操作性の向上など各種のアップデートが行われています。

Autodesk Alias SpeedForm

2Dスケッチから3Dへ迅速なコンセプトモデリングを可能とするAutodesk Alias SpeedFormでは、ホイルアーチのワンタッチ作成、カーブによる編集機能、ホットキー書き換え機能などが新たに搭載されました。

Autodesk Alias

Autodesk Aliasでは、フィジカルモデルとデジタルモデルを近づけるため、メッシュからサーフェスを作成するツールが強化されるなどアップデートが行われています。これにより、クレイモデルでの変更を素早くAlias データに反映させることなどができるようになりました。

Autodesk VRED

Autodesk VREDでは、最新の OpenGL 4.Xに対応し、SLI がフルサポートされています。さらに、VRでのHTC Vive をサポート。新UVエディタの搭載によりマテリアルのテクスチャ調整を容易にするなどのアップデートが行われています。

Autodesk Studio Wall

ビジュアルアセット管理ツールであるAutodesk Studio Wallでは、スケッチや画像、3Dモデルファイル、デザインリソースのスケジュールなど、デザインに係るさまざまなデータをビジュアルで管理が可能であって、PDMとの連携も進められています。

レンダリングシステム、レンダリングジョブコントローラー、モバイルデスクトップアプリ、SPSS

SCSK株式会社の岸元氏からは、SCSK株式会社の各種新サービスについての紹介がありました。レンダリングシステムは、ネットを介してVREDと計算サーバをつなぎ、より迅速にレンダリングを行うサービス。レンダリングジョブコントローラーは、並列処理管理に優れたレンダリングジョブコントローラーソフトウェア。モバイルデスクトップアプリは、Splashtopを用いた高パフォーマンスで安全なリモートアクセスを提供。SPSSはSoftware Product Support Serviceの略で、製品専任の技術者が保守サポートを提供するサービスです。

自動的に高精度のテクスチャを作成 xTexスキャナー

株式会社ボーンデジタルの中島氏からは、高速かつ正確にマテリアルのスキャンを行い、テクスチャ作成に必要なすべてのマップを自動的に作成するスキャナーシステム「xTex」が紹介されました。高品質、高速スキャンができるだけでなく、独自タイリングアルゴリズムを備え繰り返しパターンを自動的に作成し自動的にマスク情報を作成するなど多くの機能を備えたスキャナーシステムです。


デジタルとフィジカルを融合させるワークフロー Delcam

Delcam Japanの大木氏からは、デジタルとフィジカルを融合させるワークフローと題し、CAMソフトDelcam PowerMILLやPowerINSPECTなどを用いたクレイモデルの製作と、クレイモデルのスキャニングを効率的に行うワークフローが紹介されました。


トークショー Honda Project 2 & 4 「面白い新しい乗りものを考えてみよう」デザイン開発秘話

株式会社本田技術研究所の伊東氏とオートデスク株式会社のウォンジン氏とのトークショーでは、社内向けのコンペでデザインされた「Honda Project 2&4 powered by RC213V」の開発秘話が紹介されました。伊東氏によれば、2輪のエンジンを使って4輪の乗りものを作ったら面白いのではないかという考えで始まった社内コンペには100以上ものデザイン案が集まったそうです。Autodesk Aliasなどのデジタルデザインツールを駆使し、作りながら考えていく。オープンマインドで作業を進め、デザイン案を作り上げていきました。純粋に「面白い新しい乗りものを考えてみよう」とでき上がったものが「Honda Project 2&4 powered by RC213V」だったのです。


株式会社本田技術研究所二輪R&Dセンターデザイン開発室研究員伊東理基氏


まとめ

今回のセミナーでは将来のデザインスタジオをよりクリエイティブにするさまざまなソリューションが紹介された興味深い内容でした。デジタルデザインツールは今後も急速に進化していくことが予想され、引き続き注目していきます。