ものづくりの未来をリアルに体験。「第27回設計・製造ソリューション展」出展レポート

2016年6月21日~23日に東京ビッグサイトで開催された「第27回 設計・製造ソリューション展(DMS)」にオートデスク株式会社が出展しました。CAD、CAE、ERP、生産管理システムなどの製造業向けのITソリューションが一堂に出展するこの展示会において、オートデスク株式会社は「The Future of Making Things ものづくりの未来」をキーメッセージに、「Autodesk Inventor」を中心としたさまざまな設計ソリューションや関連ツールを紹介しています。また、オートデスクブースでは、SCSK株式会社をはじめとする協賛各社によるシミュレーション、CAM、ビジュアライズ製品に関する詳細説明やデモが行われています。今回はオートデスクブースの様子をお伝えするとともに、「設計・製造の現場が変わる ものづくりの未来」と題したセッションの内容をレポートします。

最新設計ソリューションをリアルに体験

オートデスクブース内では、ステージの前にAutodesk Inventorを使用して一人の設計者により製作された電気自動車の実機が展示されるなど、大勢の来場者で賑わっていました。


協賛各社による展示エリアでは、さまざまな最新設計ソリューションが紹介され、SCSK株式会社からは以下の製品の紹介、デモが行われました。


・データ管理ソリューション Autodesk Vault
CAD データや各種ドキュメントをサーバで一元管理。CADソフトとの親和性も高い設計データ管理ソフトウェア「Autodesk Vault」の機能紹介と、SCSK株式会社による立ち上げ支援サービスの紹介。

・Industrial Design & Visualizationの提案
ハイブリッドモデリングシステムAlias SpeedForm、スケッチからモデリング、ビジュアライズまであらゆるシーンで活用可能なAlias AutoStudioなど最新ソリューションの紹介。ビジュアライゼーションソフトウェアAutodesk VREDにより、高品質かつリアルタイムで表現されたレンダリング画像を、ヘッドマウントディスプレイを使用し来場者が体験。


大きく変革するものづくり。ものづくりの現場で起きている3つの変化


オートデスクブース内のステージでは「設計・製造の現場が変わる ものづくりの未来」と題したセッションが開催されています。ネットワークの大容量化、PCをはじめとする各種デバイスの高性能化にともない、設計、製造の現場ではバーチャルリアリティ、3Dスキャン、3Dプリンター、IoT、インダストリー4.0など、今大きな変革期を迎えています。セッションでは、その変化の内容を大きく3つにまとめ、各変化について実例を挙げながら解説が行われました。


1. デジタル世界と現実世界の融合が進む

まず1つめの変化は、デジタルと現実の世界の融合が今後さらに進んでいくということ。デジタル世界と現実世界の融合というと、まずVR(Virtual Reality:仮想現実)、AR(Augmented  Reality : 拡張現実)、MR(Mixed Reality : 複合現実)などの技術が挙げられます。オートデスクではVR技術の1つとして、VREDにより光の見え方だけでなく、動きや振動などの物理現象をも正確に再現。リアルタイムで再現される本物に近い画像をヘッドマウントディスプレイで確認することで、実際にその場で操作しているかのように仕様を確認できる技術を実現しています。


このような3次元での検討では、3次元による設計だけでなく、関係する既存の構造物なども3次元化する必要があり、非常に手間がかかると思われています。しかし、MRの技術を使い、透過型ディスプレイを用いて現実の景色を合成する方法や、3Dスキャナにより得られた大容量の点群データをCADで活用するなど、さまざまな最新のソリューションでこのような問題は解決されます。また、Autodesk ReCap 360クラウドサービスを利用すれば、デジカメの写真から3次元データを作成することも可能になっています。CADデータと現実から切り取った形状を自由に行き来しながら設計や検討ができる、デジタル世界と現実世界の融合が進んだ未来のものづくりはすぐそこまで来ています。

2. フレキシブルな生産手法が浸透する

2つめの変化は、生産現場や工場で起きている変化。3Dプリンターに代表される生産技術の変化や、IoTを駆使することで工場の自動運転を目指すインダストリー4.0などが挙げられます。
3Dプリンターの技術革新は目覚ましく、その加工速度は何倍にも向上し、樹脂だけでなく金属を材料にしたものも実用化されつつあります。また、複数の3Dプリンターを同期させて稼働させることにより、大モデルの成形も可能になっています。オートデスクでは、オープンソースの3Dプリンターソフトウェア「Spark」の推進団体を作り、ハードメーカーや材料メーカーと協力してアディティブマニュファクチャリング(積層造形)の技術革新に力を入れています。さらに、自社で高性能3Dプリンター「Ember」を製作し、最新機では従来の24倍もの造形速度を実現しています。


インダストリー4.0に関しても、通信インフラの充実や、センサーなどの各種電子デバイスのコスト減により、さまざまな機器にデバイスを取り付け、収集したビッグデータを容易に解析することができるようになりました。得られた情報を工場、設備等のCAD図面やVRモデルに反映させることで、装置や設備の稼働状況をビジュアルで遠隔確認可能となり、トラブルの事前検知や品質向上などを容易にしています。このように、生産手法に大きな変化が起きているのです。

3. クラウド、モバイル、ソーシャルにより設計スタイルが変革する

3つめの変化は、クラウド、モバイル、ソーシャルなど、さまざまなデバイスに対応した設計スタイルの変革。今後さらにネットワークやモバイル環境が向上することで、デバイスの種類、ソフトがどこで動いているか、データがどこに保存されているかなどを意識することなく、業務を行うことが可能になってきます。既に、クラウド上での設計開発から試作までを完結させることは可能であって、今後もこの傾向が進んでいくと考えられています。


オートデスクでは、既にスマートフォンやタブレットからもAutoCAD ファイルを表示、編集、共有できるA360や、クラウドベースの3D CAD/CAM/CAEツールFusion 360を提供しています。さらにクラウドベースのソフトウェアやサービスをユーザーやITベンダーとともに開発・推進するプログラム「Forge」を開始しています。ネットを介した設計スタイルの変革が今大きく起こっているのです。

大きな変革期を迎える設計、製造の現場

1960年代にコンピューターが登場して50年以上。さまざまなデジタルデバイスの機能向上やネットワーク環境の成熟により設計、製造の現場は今さらなる大きな変革期を迎えています。今回の展示会ではその未来を見据えたさまざまな技術が紹介されていました。近年、新技術の登場サイクルはより加速しています。注目すべき新たな技術動向はこちらでも引き続き積極的にお伝えしていきます。