AutoCAD新バージョンリリース。ユーザーの期待に応え新しい価値を提供し続けるための変革

AutoCADおよびAutoCAD LTシリーズの新バージョンAutoCAD 2017が2016年3月末より順次発売されています。今回の新バージョンのリリースでは、各種新機能の追加のほか、使用期間を選択して利用するサブスクリプションライセンスでのみの提供となっています。新機能やサブスクリプションライセンスによる提供に関してなど、Autodesk, Inc.のAutoCADビジネス&マーケティング戦略担当ディレクターであるJulien FAURE氏に話を伺いました。


Autodesk, Inc.のJulien FAURE氏

初期投資を抑え、常時最新テクノロジーが使える。ユーザーに利益をもたらすサブスクリプションライセンス

まずFAURE氏にサブスクリプションライセンスでのみの提供となった背景を聞きました。「サブスクリプションライセンスへの移行を、非常に複雑な変化と考える方や、オートデスクが自社の利益のために行った変更と考える方も中にはいると思います。しかし、これは自社の利益ではなく、エンドユーザー様の期待に応えるために行った変更なのです。」とFAURE氏は言います。
「サブスクリプションモデルは、すでにさまざまな形で私たちの生活の一部となっています。スマートフォンの設定アイコンにはアプリケーションのアップデートのお知らせが常に表示されています。NETFLIXなどの動画配信サービスはアクセスに応じて課金が生じます。Spotifyという音楽配信サービスは、好みに応じて新しい曲をプレイリストに追加してくれます。BOXのようなファイル共有サービスを使えば必要な人にだけデータをシェアすることができます。また、これらのサービスやアプリケーションは、パソコンだけでなくモバイルデバイスでも、スマートフォンでも同じ操作性や使用体験を提供しており、それは「便利」で「当たり前」のことになっています。AutoCADにも、同じ「便利さ」が当たり前のこととして提供されなくてはなりません。」


確かに、サブスクリプションモデルでは、一定の期間ごとにライセンス費用が発生することになります。しかし、その額は従来のように製品を購入して永久ライセンスを得るよりも遥かに安価であって、初期投資を大幅に抑えることができます。また、使用期間やライセンス数を選択することで、用途に合わせた運用やコスト管理が可能となります。さらに、サブスクリプションユーザーであれば、期間内に次々とリリースされる最新のテクノロジーを、必要に応じて選択して追加の費用を払うことなく利用ができます。
FAURE氏は「さまざまなサービス、ソフトベンダーがサブスクライブモデルにより、シームレスなアップデート、さまざまなデバイスやモバイルでの利用、クラウドによるデータの共有や保護などを実現している。AutoCADでもこれを実現しなければならない」と言います。サブスクリプションユーザーとなることで、AutoCADから形のあるメリットが継続的に提供され、将来が見える形でのコミュニケーションが可能となるのです。

AutoCAD 2017リリースにおける4つの方向性。単純化、パーソナル、接続性、革新性

今回のAutoCAD2017リリースではさまざまな機能の改善のほか、以下のような新機能が導入されています。

  • スマートな中心線と中心マークの作成
  • コーディネーションモデルの強化
  • AutoCAD 360 Proモバイルアプリ
  • デザインビューの共有
  • PDFの読み込み
  • 3Dプリント機能の強化
  • 移行ツールの強化
  • Autodeskデスクトップアプリ


これらの機能の改善は4つの方向性をもって行われています。


Simplify、単純化により簡単に使いやすくすること

最初にSimplify。AutoCAD2017では、より簡単に使いやすくすることでユーザーにさらなる価値を提供します。新たに追加されたAutodeskデスクトップアプリにより、アップデート情報やラーニング情報などを瞬時に知ることができるようになりました。その情報を元に、機能ごとにアップデートするかしないかをユーザーが決められ、Autodeskデスクトップアプリ上で簡単にアップデートが行えます。アップデートはサブスクリプションチャージだけですべて行え、追加料金は発生しません。このように、サブスクリプションユーザーとなってこまめにアップデートを行うことにより、大きな変更によって発生する操作トレーニングにかかる時間を減らし生産性の低下を防ぐことができます。常に使いやすい状態を維持できるようになるのです。


さらに、単純化ということでは、リサイズ可能なダイアログボックス、プレビュー画像をより大きくするなどユーザーインターフェースが改善されています。また、2つの線分間の中心線の描画や、円や円弧に中心マークを入れる機能も追加され作図時の操作性が向上しています。作図された中心線や中心マークは、参照した線分を移動させたり、大きさを変更させたりしても、自動的に適切な位置を維持します。

Personalize、自分好みの設定にできること

次にPersonalize。AutoCADの魅力のひとつは、自分が使いやすいようにインターフェースやさまざまな設定をカスタマイズできる、つまり「パーソナライズ」できることです。AutoCAD 2017では、自分用にカスタマイズしてあった旧バージョンの設定を新バージョンに移行する「カスタム設定をマイグレード」のインターフェースが改善されて、シンプルで分かりやすくなっています。さらにAutoCADなら、Exchange Appsに登録された600以上ものアプリでソフトウェアのカスタマイズも可能です。

Connect、ツールとツール、データとデータ、人と人との接続性を高めること

次にConnect。AutoCAD2017では、データの読み込みや、ツール間のデータ移動、チーム内でのデータの共有など接続性を高める機能が強化されています。
まず、PDFファイルのインポート機能が強化されました。従来、PDFファイルをアンダーレイとしてインポートすることで、PDFファイル内の図形にスナップさせることなどが可能でしたが、PDF内の図を直接編集することはできませんでした。しかし、AutoCAD2017よりPDFファイルをAutoCADジオメトリとしてインポートすることが可能となりました。これにより、AutoCAD 上でPDFファイル内の図を編集できるようになり、PDFファイルに書き込まれた変更を直接図面に反映させるなど、PDFとの連携性が高まっています。


次にクラウドを利用したコラボレーションツール「A360」を利用したリアルタイムコラボレーションが実現されました。ワンクリックでアップロードとリンク作成が行え、A360での図面共有がより簡単にできます。A360は無償で100以上のファイル形式のビューワーとしても利用できるため、AutoCADを持っていない人とでも、スムーズにコラボレーションが可能となります。


さらに、モバイル環境で図面の表示、編集が可能なアプリ「AutoCAD360 Mobile Pro」がサブスクリプションユーザーなら無償で提供されます。これにより、さまざまなデバイス間で図面の表示、編集が可能となります。モバイル端末での正確な計測などができるので、図面を持ち出す必要がなくなります。


Innovative、常に革新し続けること

最後にInnovative。AutodeskではAutoCADに対し、今も何百人ものエンジニアが何百万ものコードを追加、修正を行っています。マニュファクチュアリングの世界では開発、ワークフローがより複雑化してきています。それに伴い、AutoCADにより価値をもたせるためのさまざまなソフトが開発、追加されています。ReCap360もそのひとつ。写真やドローンの空撮画像、3DスキャナデータなどからAutoCAD用のデジタルデータを作成できます。AutoCAD2017ではReCap360が同梱され、その先進的な機能を体験できます。

また、AutoCAD2017ではGPUのパワーを使いより高精細な描画を実現しています。グラフィック機能など細かい部分においても常に革新的であり続けているのです。

サブスクリプションライセンスによる新たな可能性

サブスクリプションライセンスは、ユーザーにさまざまな価値をもたらします。昨年開催されたAutodesk University(オートデスクのユーザー向けセミナーイベント)で行われたアンケートの結果によると、サブスクリプションを単に価格の安い期間ライセンスと理解しているユーザーに対しサブスクリプションのメリットを説明した後では、サブスクリプションモデルを肯定するユーザーは説明前の3倍にも増加したそうです。今後、このような流れはさまざまな分野に広がっていくと予想されます。大きな変革が求められています。

参考: