業界を変える 2017 年以降のデザイン & テクノロジー予測 5 項目(前編)

最もスマートでイノベーティブな思想家ですら、時には途方もなく間違ったテクノロジー予測を行うことがある。

1878 年、電気技師のウィリアム・プリース氏は、電話がメッセンジャーボーイ (郵便配達員) を廃業に追い込むことはないと語った。1946 年には、20 世紀フォックスの重役ダリル・ザナック氏が、人々は市場投入から 6 カ月も経てばテレビに飽きるだろうと主張。1977 年、エンジニア/企業家のケン・オルセン氏は「自宅にコンピューターを置く理由はない」と語った (彼は現在の IoT ホーム デバイスのずっと先を行くものについても言及していたが、それに関しても彼は間違っていたようだ) 。

テクノロジーの予言者となるにはリスクが伴うが、私は2017 年以降の予測に胸の高鳴りを覚える。史上初めて、本当の意味でコンピューター支援設計 (CAD) とコンピューター支援製造 (CAM) が現実のものになると感じているからだ。これまで、コンピューターが人間の思考過程に参加したことはない。コンピューターは忍耐強く指示を待つのみであり、人間の創造の限界を押し広げることはなかった。

だが今、それが変わりつつある。ここでは、デザインとテクノロジーに関する 5 つの希望的予測を紹介しよう。

1. VR が建設業界に大きな影響を及ぼす
VR (バーチャルリアリティ) は建築家を支援するものとして成長トレンドにあるが、最も計り知れない影響は建設業界に起こるかもしれない。VR は建設業界のプロたちに、文書ベースのスケジュール (ガントチャートなど) や 3D グラフィックデータ (BIM モデルなど) 以上に信頼性の高い描写を提供する。

ゼネコンは VR を活用して現場をバーチャルに歩き回り、翌週の作業成果の予定を視覚的に確認できる。データに没入することで、現場で実際に作業を行う前に問題を指摘したり、食い違いを解決したり、変更を調整したりできるようになる。また作業員も予行練習ができるようになる。

建設管理者や作業員が、データと異なる関わり方をできるような変化によって、時間とコストの大幅な節約、手戻りや事故の防止が実現できる。

2. 機械学習が製品デザインのクリエイティビティを新たな高みへ引き上げる
機械学習は飛躍的な進化を遂げている。科学者が共感覚的に人間の脳を刺激することで虚偽記憶を誘引するのと同じ手法で、ソフトウェア内部で「ニューロン」を刺激することにより、これまで考案されたことのないオブジェクトを発掘可能となった。

その一例が、Autodesk Design Graph (英文) プロジェクトだ。これは膨大な量のデータを発掘し、パーツ (ギア、ボルト、ネジなど) 間の関係性を識別して形状毎に分類し、関連性のある提言を行うというもの。システムが訓練されるに従って、人間の脳の仕組みに似た方法で認識能力が高められた。人間がイヌとネコを区別できるように、ソフトウェア内に認知力が存在するのだ。


一連のニューロンを刺激して椅子を、別のニューロンを刺激して飛行機を、それぞれ作成したとする。この 2 つのオブジェクト間をスライドして「虚偽記憶」を刺激すると、椅子と飛行機の間でオブジェクトがモーフィング変形するのを観察できる。ただし興味深いのは、こうした形態学上の異種ではない。既存のオブジェクトの周辺に注意を向け、その中間にある未知の空間を見つけ出すことで、新しい製品の機会が指し示されるかもしれないということだ。

後編に続く

Written by Jeff Kowalski(ジェフ・コワルスキー/ Autodesk CTO)

オートデスクの最高技術責任者 (CTO) であるジェフ・コワルスキーは、テクノロジーに対する長期的なビジョンを作り上げ、ビッグアイディアを探訪することでイノベーションをドライブ。エンジニアやテクノロジスト、マーケター、政策通など幅広いソースから得た、充実したテクニカル、ビジネス、事業アイディアを促進することで高い評価を得ています。 コワルスキーはコーネル大学で電気工学の学士号、コンピューター科学の修士号を得ており、CTOの責務にないときは音楽を演奏し、カリフォルニア州バークレーで家族と過ごしています。

本記事は「創造の未来」をテーマとするオートデスクのサイト「Redshift ⽇本版」の記事を、許可を得て転載したものです。

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