2017年を席巻するイノベーションの傾向とは~「第13回 SCSK Designers Forum」~(後編)

去る2017年1月20日、東京都千代田区の秋葉原UDX GALLERYにおいて、SCSK株式会社が主催するイベント「第13回 SCSK Designers Forum」が開催されました。

「モノづくりの一線で活躍する方々の基調講演とイノベーションをもたらすVR体験イベント」と題したこのフォーラムは、“VR元年”らしい試みである最先端のVRを体感できる催しをはじめ、ものづくりに関わるさまざまなジャンルのみなさまによる基調講演、これからのものづくりを変えるかもしれないソリューションの展示などで構成されました。

(前編)より続く

老舗企業、あるいは気鋭の企業が打ち出す、新時代の多彩なヴィジョン

続いてのセッションには、3名のスピーカーの方々が登場。キヤノン株式会社の山下雅丈氏、太田晴紀氏、山村次生氏です。語られたのは「キヤノンデザインセンターについての解説」「キヤノンがカメラをデザインするにあたって、どのような点にこだわっているのか」「内部のデザイナーが、新たなCG領域に対してどのような挑戦を試みているのか」という魅力的な3つのテーマでした。まず、同社ゼネラルマネージャーである山下氏から、80年の歴史を持つキヤノンが、どのような会社であるかが語られました。

真っ先にイメージするカメラ以外にも家庭用プリンタ、業務用プリンターも事業の大きな柱で、カメラ同様にデザイン開発に注力していること。また、それ以外にどのような商材を扱っているのかという解説に続き、キヤノンのデザインセンターが紹介されました。デザインセンターは、デジタルモデルデザイン部門を持ち、さまざまな製品モデル、プロモーションアイテムを制作することができる専門家集団とのことです。そのデザインセンターに所属する、カメラデザイン担当マネージャーの太田氏は、ムービーを交えながら、キヤノンがカメラのデザインに注ぐ情熱、デザイナーが考えるキヤノンのデザインの有り方などについてお話しくださいました。異なる視点を持った多くの人たちが、それぞれの「感覚」に従って評価を下すカメラデザインの現場では、よりリアルで精緻な評価を求め、3Dデータ、3Dプリンタなどを活用しています。デジタルツールの活用によって、カメラデザインは大きな進化を遂げました。その現状を、現場の一員として活躍する太田氏が、詳細にレポートしてくださいました。キヤノンのセッションの最後に登壇されたCG・映像制作技術担当 マネージャーの山村氏は、企業内で活動するインハウスデザイナーの実情について、現在のご自身の業務内容を踏まえて解説。非常に多くの製品を扱うキヤノンという企業において、インハウスデザイナーは、ユーザーの視点に立ち、製品の特長、機能、デザインの価値を分かりやすく伝えるという使命を担っていると、山村氏は言います。そのために、デザイナーたちが関わるべき領域、そこでやるべきこととは何なのか。巨大な企業がユーザーと密接にコネクトするために、デザイン部門が果たす役割がいかに広範囲にわたるかということが伝わる、興味深いセッションになりました。

最後のセッションを担当したのは、株式会社未来技術研究所 代表取締役 畑山一郎氏でした。
「技術を見せる」ことに重きが置かれていたこれまでのデジタルデザインを、「技術を見せずに効果で魅せる」デジタルデザインに変えていく、という命題についてのセッションです。一例として、インターネット普及のビフォアとアフターで、デザインにおいて一体何が進化したのかといった検証を挙げ、これからのデジタルデザインの有り方が語られました。また、モビリティーデザインのスペシャリストとして知られる同社が手掛けた千葉県の「柏の葉スマートシティ」における近未来のスマートモビリティデザイン事例、そしてASEAN諸国において環境省と共に取り組んでいる電動モビリティ活用事例など、ユニークで前向きなヴィジョンに満ちた実例も紹介されました。

セミナーの最後にはSCSK株式会社 製造エンジニアリング事業本部 デザインソリューション部部長の網野広孝が閉会のあいさつを述べられ、多くのエンジニアやデザイナー、マーケティング担当者を集めて行われたフォーラムが幕を下ろしました。会場の各種展示を含め、非常に示唆に富んだイベントであったと言えるのではないでしょうか。“VR元年”を迎え、ますます進化し、驚くべき技術や表現手段が登場するであろう2017年。この1年を通じて新しいステージに登ったものづくりの世界の近況を、来年の同フォーラムでまた紹介していただけることを信じてやみません。